創作本編

□第二章
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「いいか、きっとここでカノと彼女の妹に会うだろう。だが、彼女の妹に会う際の注意事項がある。」
「何?」
「絶対に、深追いするな。」

振り向いた父親の目は普段とは全く違った。

「必ずカノと僕と一緒にいなさい。」
「何で?」
「・・・彼女は狂ってる。」


一瞬、時が止まったような気がした。


車から下り、裏口から入る。厳重すぎるセキュリティを解除すると、中は洋館のような造りだった。

「ここにカノとカノの妹がいるの?」
「そう。絶対に父さんから離れないで。」

父親はそう言うと成人の手を握った。

「この歳で手繋ぐのは嫌なんだけど・・・」
「それくらい危ないの。」

渋々手を引かれながら進む。真っ暗で何も見えなかったが、前から自分達とは別の足音がした。

「・・・あら、いらっしゃい成人君。」
「カノ!」

見覚えのある長い藍色の髪。それはまさしく昼間大量のお菓子を抱えていた少女だった。

「木下、成人君連れてきたのね。」
「君があんなこと言うから・・・」
「でも嬉しいわ。貴方以外の人間と話せて。」

二人の話を成人は黙って聞いている。時々あたりを見回したりと、すこし緊張しているみたいだ。
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