創作本編
□第二章
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彼女の言葉が耳から離れない。
(家族だからこそ言えない、ってどういうこと?)
晩ご飯のハンバーグを口に運びながら考える。
「おい成人、いらないなら俺が食ったるぞ。」
「やめなさい勇人!成人、具合でも悪いの?」
母親達の言葉も耳に入らない。父親はまた帰ってこない。家族三人の食事。
「・・・もういらない。」
「ちょ、成人!?」
母親の制止も聞かず階段をかけ上がり、部屋のドアに鍵をかける。
(なんなんだよ・・・)
布団にもぐりこみ目を閉じる。そのまま成人は眠ってしまった。
「ん・・・。」
目が覚めたのは午前二時を回った頃。一階からの物音で目が覚めた。
(またアイツか?)
暗闇の中を手摺を頼りに階段を降りる。一階の明かりがついていた。
「誰?カノ?」
そう言いながらドアを開ける。
「成人・・・」
「あれ、父さん。帰ってきてたんだ。」
「お前今・・・カノって・・・」
「おう。家に来てたぞ。」
そう言った途端肩を掴まれ壁に押しつけられた。
「いっ・・・何すんだよ!」
「何を話したッ!!」
「・・・ッ!」
普段の父親からは想像もつかないような顔。成人は恐怖すら感じた。