□僕
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手のひらから零れ落ちた砂は
君のように遠くへ飛んでいってしまって
すこし
孤独を感じた。
僕の手のひらの上には
もう、何もない
君の顔、声
暖かかった君の手は
僕の両手をすり抜けて
遠くへ。
目覚めて最初に目に入る
君の寝顔
見つめていると君が起きて僕を叱る
だめだよ?って
朝目覚めても
その声はもう聞けない。
あんなに好きだった
君の…声が
おもいだすことが
で き な い…
仕事が終わって
家に帰っても
君の姿は見えなくて
だだいまって
癖で言って
返事が返ってこなくて
瞳から
勝手に流れ落ちるモノ
モノはとまることがなく
僕の顔を濡らしていって
僕は毎日、
ベッドで崩れ落ちる
幸せだったあの頃はもう戻ってくることは無くて
声をあげて哭いて
そのまま
ベッドで眠りにつく
朝目覚めて
顔がぐちゃぐちゃで
今日は仕事を休んで
君に逢いにいこう。
蒼空のした
木々に囲まれた…
君の墓
君が好きだった花を手に
僕は言う
元気だったか?って
声を聞くことはもう出来ないけれど
ここにくると
思い出せる
君の顔、声、姿、仕草を
僕の声は震えてしまって
せめて君にはばれないように
笑う。
通りには桜の並木道
舞い降りる花片
風に乗って舞い降りる桜の花片
君に逢いにくると
桜が降ってくる
君がそうしてくれているの?
また、桜が咲いたら逢いにくる
彼女の眠るあの丘へ

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