晴れた日

□編物1
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「う〜さみぃ…」
列車から降りて開口一番に出たエドの言葉は【寒い】だった。
エドはいつもの黒い服に赤いコートをはおっていただけだった。
今までは大丈夫だったが、これからの冬の季節には厳しいだろう。
「なんか雪でも降りそうな空だよね」
アルは空を見て言う
自分には寒さなど分からないけど、エドを見ていると吐く息は真っ白く寒さで耳まで赤くなっていた。見ているだけでも寒そうだった。
「嫌なこと言うなよ〜アル〜もっと寒くなりそうじゃんか…」
エドは顔をしかめて弟を見上げる。
「ごめん、ごめん…
あれ?あそこにいるの大佐じゃない?」
「大佐が〜?」
嫌な顔をしながらエドもその方向を見る。
アルが気づき指をさす先にはロイが私服でホームに立っていた。
「げっ!
本当だ…」
げんなりしながらエドは呟く。
あの一件以来ロイはことあるごとにエドにアプローチを続けていたエドを男と信じている部下達は『男にちょかい出してどうする』と呆れられているが、エドを女と知ってるホークアイと弟のアルは気が気でない。
ロイがエドに何かしない様にいつも目を光らせていた。幸い二人が恐いのか、これ以上エドに嫌われたくないのかロイがこれ以上エスカレートする事はなかった。
「もしかして…兄さんを探しているのかな?」
ロイがキョロキョロと誰かを探している様子を見てアルが言う。
「そんな事あるか?
オレ達ここに来ること誰にも知らせてないんだぞ?偶然じゃないか?」
エドはいつも、司令部に来るとき何も知らせず来るときが多い。
アルがいつも連絡したほうが良いと言うのだが、エドはいつも聞こうとはしなかった。
そんな時、時々アルが気づけば連絡する事が多かったが、エドはいつも思いつきで行動するので前もって連絡する事はあまり出来なかった。
今回はアルも司令部には連絡しそこねたのだった。
「それにしても…どうして大佐がここに来ているのかな?」
「さぁな…聞いてみれば分かるだろう?」
エドはそう言ってロイに近づいて行った。
「ちょっと、兄さん!…んもぅ〜」
アルも慌てて追いかける。
しかしロイと何かを見つけたエドは急に足を止めた。
「どうしたの?兄さん」
急に止まるエドをアルは心配して聞いてみる。しかしながらエドは何も言わない。
どうしたのだろうとアルは再びロイに視線を向けた。






続く







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