3年D組みんな仲良し

□彼らと僕のめくるめく日々
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 土曜日の時間割りはとってもシンプル。

1限LHR、2限体育、3限は現国で4限は家庭科。一週間で一番楽な日。ただ、今日みたいに、LHRの時間にクラスの交流を深めるためとか言って、体育館や校庭を使って遊ぶことがある。

 2時間連続で体育をやるようなものだから、体力のない人にはちょーっと辛いんだなー。

 いつものメンバーレオ・ヒナタ・海生・桜井・僕、そして体調不良で休んでいたけど、一週間ぶりに学校に来た日村の6人で体育館の奥へ集まる。

 いつも一緒の仲良しグループ、本当は7人なんだけど、気まぐれそーくんは保健室でサボタージュ中だから、今日は6人。

「さあて、何をやろうかね?」

 こういうとき、場を仕切るのはレオの役目。いつも率先して、司会進行してくれるからとっても助かってるんだ。

「久しぶりにバスケットがやりたいなー」

 僕の提案に、

「バスケはやめとけ。ヒナタとレオでメンバーの取り合いになって遊んでる時間がなくなるぞ」

 と、桜井が待ったをかけた。

 そうだ、バスケをやるときはいつもレオとヒナタで、メンバーの取り合いになるんだっけ。自分のチームに長身コンビの海生&桜井、2人まとめて入れようとするから。

 背が高いだけじゃなく、小学校の頃バスケットボールクラブに入ってた桜井は文句なしに上手いし、コントロールが抜群の海生は一番のポイントゲッター。2人がチームに加われば、それだけで勝ったも同然なんだ。

 逆に言えば、どんくさくてすぐに転んじゃう僕と、体力がなくてすぐに倒れちゃう日村はあまり必要とされてないってことなんだけどね。

「無駄な争いは避けたいしねえ。どうしようか?」

 柔らかいセピア色の髪の毛をいじりながら、レオは楽しそうに呟いた。

 近くでバレーボールをやってた女の子たちがレオのことを見て、クスクス笑う。

 レオは学校一の美少年と言われるほどに、綺麗な顔立ちをしているから、何をしてても女の子に注目されちゃうんだ。みんながみんなそうってわけじゃないけどね。

「バレーだとやっぱり背の高い海生と桜井の取り合いになるし、バドミントンだと準備が面倒だし。一番シンプルにドッジボールにしようかね」

 レオはにっこり笑って、「意見する勇気のある奴はいる?」と訊ねた。

 笑顔のレオも、それはそれはとても可愛らしいんだけど、何故だか時々その笑顔に謎の圧力を感じるんだ。

 それは僕だけじゃないみたい。みんな無言で首を横に振ったから。

「よし、じゃあ3分後に始めるよ」

 そう言うなり、レオは海生とヒナタの腕をつかんで体育館の隅へ引っ張っていっちゃった。

 レオは頭がいいから、ドッジボールをやるなら、小さくってすばしっこいヒナタを敵に回すより、味方につけた方がいいと思ったんだろうね。

 ちなみにバスケットが得意な桜井は、何故かドッジボールはものすごーく苦手、というか片手でボールを投げるのが下手なんだ。

 なんて、僕も人のこと言えないんだけど。

 残された僕ら、僕と、日村は無言で桜井を見上げる。

 視線に気付いた桜井はちょっとだけ視線を泳がせてから、

「とりあえず、怪我しないように、無理しないように、それなりに楽しんでやろうな」

 とすぐに笑顔を浮かべて言った。

 桜井の言葉に僕は元気よく、日村は静かに頷く。

 レオと対照的に、学校一の不良と恐れられる見た目凶悪な桜井だけど、本当は穏やかで優しい、いい子なんだよ。一般的には(?)あまり知られてないだけで。

「それから今日は気温30℃越えるらしいから、水分はこまめに取るようにな。室内でも熱中症になるから。特に日村は病み上がりなんだから無理するなよ。辛かったらすぐに言え。俺も気を付けるけど、花菱も日村のこと気にかけてやってくれよ」

 それに心配性で、こうやってお母さんみたいにお世話やいちゃうところもあるんだ。これもあまり知られてないみたいだけどね。
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