3年D組みんな仲良し
□みんなの卯の花祭奮闘記
6ページ/27ページ
レオ
☆
演劇部の持ち時間はそんなに長くない。
とりあえずオープニングは簡単な動きと、日村のナレーションを流し、本筋はカイドリヨンが魔法使いに会うところからにした。
初日ということもあり、今日は全員台本を持つことを許可した。
「ただし、明日以降、演技中に台本見るのは禁止。今日で全部覚えてきて。時間ないんだからね。もしセリフをとちったりしたら、罰としてマジックで顔に悪戯書きするからね」
こうでもしないとみんないつまでたっても覚えないだろうから。
ヒナタは舌打ち、海生は不安そうに眉を寄せ、桜井はため息、日村は「困ったもんだ」とでも言いたげな顔で笑った。
「レオ、一つお願い」
花菱が元気よく手をあげた。
「悪戯書きするのは仕方ないとしても、せめてペンは水性にしてもらえないかな?」
なんだ、そんなこと。
「ダメ。水性じゃ怠け心がでるかもしれないから油性でやる」
ヒナタが「くっだらねー」と毒づいたのが聞こえた。
「言っておくけど、ここでは僕が法律だからね。不平不満があろうがなかろうが、一から十まで全て僕の指示に従ってもらうから。わかった?」
戸惑ったような沈黙に苛立って、足を踏み鳴らした。
「返事はっ!?」
「「「「「はいっ」」」」」
まったく。はじめから素直になればいいものを。