3年D組みんな仲良し
□みんなの卯の花祭奮闘記
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花菱
☆
帰る前に、フォー研の部室に寄ってみた。
フォークソング研究同好会。略してフォー研。
その名の通り昔はフォークソングを歌ったりギターを弾いたりする部活だったらしいけど、今はフォークじゃなくて、ロック? が主流みたい。
そのフォー研の部室で、ヒナタはフルートを吹いていた。
フォー研なのに、フルート。
「ヒナター。おつかれー」
声をかけると音がやんだ。振り返るヒナタの眉間には皺が刻み込まれてる。
「なんか機嫌悪い?」
「たった今悪くなった。何しに来たんだよ」
「話があって来たんだよ。レオから聞いた?」
「劇のことか?」
「うん」
「知らねーよ。オレにゃかんけーない」
ヒナタはめんどくさそうに言って、またフルートを構えた。
「劇にでないの?」
「出たくはねーな」
出ない、とは言わないんだ。
「レオになんか言われた?」
「別になにも。いつものことだよ。あいつ言い出したら聞かねーだろ」
「そうだね。さっき聞いたけど、海生たちもそう言ってた」
レオは利かん坊だから、一度言い出したら絶対折れないから、目的のためには手段を選ばないから。
「明日から稽古だって、楽しみだね」
「お遊戯に無理矢理付き合わされてなにが楽しいんだよ」
「放課後みんなでわいわいしながら、卯の花祭の準備するんだよ? 絶対楽しいって」
ヒナタはいやーな顔して、言葉は返さなかった。
早く明日にならないかな。