3年D組みんな仲良し

□みんなの卯の花祭奮闘記
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日村



「代々、卯の花祭の演目はその年の新部長・新副部長が書き下ろしたオリジナルの劇をやることになってるんだって。それで今年は副部長のレオが脚本を書いたんだけど、他の部員たちはそれがどうしても気に入らなかったみたいで、もめにもめて、部員たちが演目を変えないなら卯の花祭には出ないって言い放ったらしいんだ。レオもプライド高いし、自分の作ったものに絶大な自信があるから、今さら演目を変えるのも嫌だし、卯の花祭に出ないわけにもいかない。だから、こうして俺たちに卯の花祭への出演を頼んできたんだってさ」

 頼んだ、というか、命令だよな、あれは。

 奏は返事をしない。

 聞いてるんだかいないんだか、聞いてるけど答えたくないのか、レオの書いた脚本に夢中で本当に聞いてないんだか。

 いろいろな可能性が考えられるが、奏が返事をしないのなんていつものことだから、別に理由なんてどうでもいい。

「俺は魔法使い、奏は王子様の従者役をやってほしいんだって」

 従者役なんてわざわざ作る必要あるんだろうか。

「くだらない話」

 本を閉じて、奏は静かに、でもばっさり言い放った。

 普段無口で話しかけても八割は無視する割りには、言いたいことははっきり言う。

「怒るから、レオには言わない方がいいぞ」

「配役は面白い」

「それは俺も思った」

 レオ、本当はプライド云々なんてどうでもよくて、ただ自分が楽しみたいだけなんじゃないかとも。

「さっき言われたんだ。明日から練習するって。どうする?」

 奏は返事をしない。

 嫌な時ははっきり嫌って言うから、嫌じゃないのか、レオの自分勝手はいつものことだって諦めてるのか。

 レオは言い出したら聞かないから。
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