3年D組みんな仲良し
□みんなの卯の花祭奮闘記
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桜井
☆
卯の花祭。毎年4月の最終週の土曜日に行われる新入生歓迎会のことを、うちではそう呼んでいる。
『卯の花祭』なんて大層な名前はついているが、内容は他校の新入生歓迎会とたいして変わりはないと思う。
先生方・生徒会長からの歓迎の挨拶、学校での生活の仕方、学校行事の紹介、委員会・部活動の紹介。とまあこの程度。
だが、最後の部活動紹介はなかなかに面白い。新部員獲得のため、各部とも趣向をこらした出し物を用意し、新入生に披露することになっているからだ。
卯の花祭終了後、午後から早速、校内の至るところで部活動勧誘が始まるため、どこの部も、少しでも新入生の印象に残るようにと必死なんだ。
まあ俺のとこ、園芸部は最初から新部員なんて求めちゃいないから、出し物なんか用意しなくていいし、気楽なもんだな……と思っていたが、そういうわけにもいかないらしい。
「劇に出てくれって頼まれたのか?」
海生は首を傾げて、
「頼まれたって言うより、『出るよね?』って、もう決まってる感じだった」
「おまえは何て返事したんだ」
「する前に台本押し付けられた。桜井にも渡しといてって。明日から稽古始めるからって」
そんな急に言われても。
何で人の都合を考えないで勝手に話を進めるかな。
本当に自己中なやつ。
「出る?」
「出ないわけにはいかないんだろ」
表紙をめくれば、配役がずらっと並んでる。当然、俺と海生の名前も書かれてる。
「おまえ、台本見た?」
「見たよ」
うなだれる海生。気の毒になって、肩を軽く叩いてやった。なんの慰めにもならないだろうが。