3年D組みんな仲良し

□彼らと僕のめくるめく日々
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 花菱 聖、14歳。

 私立神明学園中等部3年D組在籍。生徒会長、剣道部副部長を兼任中。

 容姿は並み(と思ってる)、成績は上の上にちょっと届かないくらいで、性格は至って温厚、かな?

 周りからは、天然ボケとか、最強のポジティブシンキングで最凶のドジとか、おめでたき人とかファイト一発猪野郎とか色々言われてるけどね。

 これといった取り柄がない僕にも、唯一胸を張って自慢できることがある。

 それは、僕には同じクラスにとても楽しくて素敵な仲良しの友達が6人もいるんだ! ってこと。

 個性が強いから、時々意見がぶつかったり、喧嘩になったりすることもあるけどね、本当はみんなすっごい仲良しなんだよ。

 そんな彼らと僕の賑やかで愉快で素晴らしく幸せな日々。





 毎朝、僕は6時55分に起きる。目覚まし時計は7時に設定しているけど、いつも5分早く目が覚めちゃうんだ。時を刻む時計と、僕の身体の中の時計は5分のずれがあるみたい。

 起きたらまず、眼鏡をかけて、布団の上で大きく伸びをして。

 布団を片付けたら、コンポのスイッチをON。流れ出す軽快な音楽に合わせて、僕は体を動かす。朝の日課のラジオ体操。今日もちゃんと第2までやった。

 それが終わるとリビングへ。お父さんは既に仕事に行っていた。

 四人掛けの手前側の右が僕の定位置。

 お母さんの作ってくれた朝御飯をよく噛んで食べて。終わったら洗面所で身支度。

 僕の髪は何だか中途半端な癖っ毛で、頭の上の方はそれほどでもないのに、何故かすその方はいつもあっちゃこっちゃ変な方向を向いているんだ。下の方の髪の毛は自己主張が激しいみたい。

 でも、あんまりにもみっともない時以外は直さない。これも個性ということでね。

 玄関を出る前に、鏡の前で自分の姿を確認。

 顔にご飯粒がついていないか、制服に汚れはないか、学生帽の位置は正しいか。

 最後は鏡の中の自分と、お母さんに笑顔で「いってきます」を告げて、家を出る。ここまでの所要時間は大体45分くらいかな?

 僕はマンションの7階に住んでるけど、エレベーターは使わない。健康のため、普段から階段を使うようにしているんだ。だから、体力にはまあまあ自信がある。でも、足腰はまだ弱いみたい。階段を降りる途中で必ず転んじゃうから。今日もすでに2回、階段を踏み外したし、もっと鍛えないとね。

 僕の家から学校までは歩いて30分。

 僕の通う、私立神明学園は幼稚園から大学まであるとても規模の大きな学校で、一度入学したら余程のことがない限り進学出来る、俗に言うベルトコンベアー……じゃないや、エスカレーター式の学校。

 中学と高校は校舎は別だけど、渡り廊下で繋がってる。

 僕の所属する剣道部は、基本、中高合同で行うから、日によってあっちの校舎へ行ったり、こっちの校舎へ来てもらったり、ちょっとめんどうな時もあるんだ。

 生徒の自主自立を尊重するとかで、校則は近隣の公立の学校に比べて、緩い。ただし、登下校時は正しく制服を着用するようにと、何故かこれだけはやたらと厳しく言われてるんだ。

 男子はカラーを締め、学生帽を被ること。女子はネクタイを締め、スカートの丈は膝が出るほど短くしないこと。

 と言っても、日頃から制服をぴっしり着こなしてる人はそういない。みんな月一で行われる服装検査さえ乗り切ればいいやって思ってるんだよね。

 かと言って先生方も口で「制服をちゃんと着ろ」と言うだけで、具体的に何かするわけじゃないから、やっぱりゆるゆるなのかも。
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