3年D組みんな仲良し

□夏の想い出
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 珍しく花菱から、お誘いメールが来た。しかも、これまた珍しくクラスメイトに一斉送信。

 内容は「急で申し訳ないけど、クラスの友好を深めるために肝試しをするから、今夜7時にN駅まで集まって!」というものだった。

 こういう突発的な企画するのは、大抵レオなのに。

 とりあえず、「了解した」とだけ返信して、夜に備えて昼寝をした。



 俺たちが通う、神明学園の最寄りのN駅に、ちょっと遅れて7時10分に到着したとき、迎えてくれたのはいつものメンバー、ヒナタ・レオ・桜井・花菱・三嶋の5人だけだった。

「クラスの友好を深めるための肝試しじゃなかったの?」

「誘ったのは誘ったんだけどね、何せ急だったから」

 花菱は何故か照れたように笑いながら弁明した。

「『誰が企画したの?』って聞かれて、『レオだよ』って答えたら、男子のほとんどが、『小日向くんも来るの?』って聞かれて、『来るよ』って答えたら、女子のほとんどが、『今日は都合が悪いから』って言ってきてね。残りの人たちは『桜井が来るなら行かない』ってさ」

「それは『急だったから』とか関係ないんじゃないの?」

「急な誘いだったから、心の準備が出来てなかったんだよ、きっと」

 心の準備が出来ていたとしても、丁重にお断りされたと思うけどな。

 顔はいいけど性格が悪いことで有名なレオは男子に嫌われてるし(女子の中でも嫌いな子はいるだろうけど)、短気で口が悪いヒナタは女子の天敵だし(男子の中でもよく思ってない奴はいるだろうけど)、性格はいいのに見たが怖いせいで不良呼ばわりされてる桜井は男女問わず敬遠されてるから、仕方ないと言えば仕方ない。

 でもよかった、そこに俺の名前が入ってなくて……というのは、三人に申し訳ないかな?

「で集まったのが、僕たち仲良しグループ6人てわけ」

 楽しそうな花菱の後ろで、レオは冷笑を浮かべ、ヒナタはブスくれた顔をし、桜井は肩をすくめ、三嶋はぼーっと空を眺めていた。

「『仲良しグループ』ていうなら、日村はどうしたんだよ? それに紫音さんは誘わなかったのか?」

 花菱の言う、仲良しグループは本来7人。時々、紅一点の紫音さんが加わって8人になるけど。

「日村も紫音さんもお家の用事で来れないんだって。残念だね」

 身体の弱い日村が一緒に遊べないのはよくあることだからまあいいとしても、紫音さんが来れないのは、ちょっと残念だったりして。

 だって、男6人だけで肝試しって・・・・・・。

「女の子いたほうが、華があっていいんだけどね」

 あんまり残念そうじゃないけど、言葉だけは残念そうに、花菱は言った。

「一応確認だけど、6人しかいないのに、肝試しやるのか?」

「6人もいるじゃないか。これでやらなかったら、何のために集まったんだかわかりゃしないよ」

 レオはつっけんどんに言った。
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