3年D組みんな仲良し
□三日月祭まで勝負です。
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ハルちゃんの話をしよう。
ハルちゃんというのは、俺のイトコで四つ年上の女の子。レースのついたふわふわの服とか、可愛らしいワンピースなんかが似合う、とっても女の子らしい女の子だった。
特に印象に残っているのはハルちゃんの長い髪。背中まであったハルちゃんの髪は黒くて艶やかで、きれいだった。
なのに、ある時、ハルちゃんが、突然髪の毛をばっさり切ってしまった。
俺がまだ幼稚園に通っている頃、ハルちゃん一家が家に遊びに来てたときのことだったはず。
何があったのかはわからない。でも、何かがあって、ハルちゃんは髪を切り、こんな宣誓をしたのだ。
「あたし、今日から女の子やめて、男の子になる。もう髪だって伸ばさないし、ワンピースも着ない。これからは男の子として生きていく」
その時のハルちゃんの凛とした態度を今でも覚えている。
だけど、あれ以来ハルちゃんたちが家に来ることはなくなり、その間一度も会うこともなかったから、『ハルちゃん』の存在を日常的に思いだすことはなかった。
それなのに何故か。突然、本当に突然、何の前触れもなく、ハルちゃんが家にやってきた。