慎吾のページ

□何でもいいんだ
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「慎吾さん、何か欲しいものあります?」

「いや、別にー?」

「行きたいとこは?」

「それも別にー…。」

「…『別に』ばっかりじゃ誕生日プレゼント決められないんですけど、オレ。」

「準太がくれるんなら何でもいーよ。」

「何でもいいが1番困るんですよ。」



準太の眉間に、うっすらとシワが刻まれる。困ったなー、まさにそんな感じの顔で頭を悩ませる準太は、とてもカワイイ。

この間から何度となく繰り返されてるこの会話。
明日はオレの誕生日で、準太はオレへのプレゼントに迷ってる。


ホントに何でもいいんだけどな。

去年の今頃は、準太への気持ちに気付いても、伝えることさえ出来なくて、それを隠すかのように女の子と付き合ったりした。

チームメイトで、男の準太。

気の迷いだと、興味本位だと、何度も自分にいい聞かそうとしたけど、走り始めた気持ちは止められなくて。

準太が笑うたび。
マウンドに立つ姿を見るたび。
何度もその気持ちを自覚させられた。

その準太が、今はオレの傍にいる。


「明日、うち来るだろ?」

「部活終わったらソッコー来るっすよ。」


あ、ケーキ買って来ますね、って笑う準太の目尻がいつもより下がる。
オレの大好きな笑顔。


プレゼントなんか何もいらねーんだ。
明日、18歳の誕生日にお前が傍に居てくれる。
それだけで、十分に幸せ。

願わくば、来年もその先も一緒にいれたらと思うけど、それは口にしない。
言葉にすると、縛りつけてしまうから。

だけどお前が同じように、この先も一緒に居たいって思ってくれてたらいいなと思うよ。






Fin.


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