言葉遊び

□獣
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 すると、雷はスッと立ち上がり、優李を抱えて、後ろの開け放たれた窓の窓枠に足を架ける。
ここは、3階…。
勿論、窓の外には足場など有りはしない。
しかし、雷は何の躊躇もなく外へと跳び出す。
 そして、雷は軽やかに着地し、優李は雷に抱えられたまま校舎に向き直り、その細い指をパチンと鳴らす。
すると突然、何も無い空間が口を開け、学校を跡形も無く飲み、そして消えた。
 その様子を無感情で見つめていた優李は、雷に降ろしてもらい、「OK。次は、これを何とかしなきゃね。」と、血に染まった雷の顔を見上げ、再び「クスッ」と、笑う。
そして、優李は鞄から出した水でタオルを濡らし、雷の顔の血を拭い落とす。
その後、優李はもう一度パチンと、指を鳴らし、空間に裂け目をつくり、「さて、そろそろこの世界にも飽きたから、元の世界に帰りましょうか。」と、雷の手を引き、中に入って行く。
そして、2人の姿が見えなくなった頃、優李が指を鳴らす音だけが聴こえ、空間の裂け目は閉じられた…。
後には、何も無いまっさらな地面と静寂だけが残された…。




  ―good bye―
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