言葉遊び

□獣
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今、そいつに気が付かれれば、間違いなく命は無いだろう。
しかし、優李は呑気に「あ、いた。」と、声をあげる。
 すると、そいつが優李の方をゆっくりと振り返る。
しかし優李は、それに怯む事も無く「まったく、雷は。一体、ここを誰が片付けると思ってるの?」と、その幼い顔立ちに似つかわしくない強い口調で、「雷」と言うらしい獣と人間の中間辺りの少年を怒鳴り付ける。
すると、雷は「主がなぜここに?」と言うような面喰らった顔になり、殺気を消して、優李に近付き、「申し訳ありません…。」と、俯きながら、優李の前で片膝をつく。
優李は、その反省の態度を見て、雷に「分かれば宜しい。顔を挙げなさい。」と、偉そうに命じる。
 すると、雷は顔をあげるが、その顔にはまだ『申し訳ない』という表情が見てとれた。 しかし、顔は返り血で真っ赤に染められていた。
優李はその雷の顔を見て「クスッ。」と、可愛らしく笑う。
そして、「もう良いってば。そんな顔してても過ぎた事はもどらないんだから。」と、言い、緩んだ口元を引き締め、「さぁ、そんな事よりもさっさとこれ、片付けるわよ。」と、肉片を指差す。
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