譫言
□気の迷い
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コイネガ
「希う」
鍵の閉まる音が聞こえて、一人になった。
何故か、異様に悲しかった。
待って!置いてかないで!
追い掛けたい衝動に駆られた。
だけど、体が着いていかなかった。
置き去りにされた訳じゃない。
だけど、淋しかった。
別に会話が欲しかった訳じゃない。
君にいて欲しかった。
君達に側にいて欲しかったんだ。
独りじゃないって言って?
背を預けられる誰かがいる。
そういう安心感が欲しかったんだ。
今まで、こんなに人を愛おしいと、思ったことはない。
幸せを感じた16の夏。
不安に駆られた16の夏。
愛おしい人達。
どうか、俺を置いて行かないで。
†