□ころした痛みはどこへゆくの
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「前々から思っていたんだが、君が初めて人を殺した時の事は覚えているか?」

「君らしくて面白い質問だね。
そうだな・・・初陣初っ端から捕まって拷問されてレイプされそうになった時だね。あれで初めて人を殺したよ。」


ワインを飲みながらユーリを見た。一つのソファーにお互い向き合いながら座っている。
彼女は片膝を抱えた。


「殺さないと殺されるのルールだったからいちいちセンチメンタルな事考えてなかったさ。殺人マシーンにならないといけないから感情なんて捨てたよ。」


それが当たり前だと言わんばかりにユーリの顔の火傷をなぞる。
他人にその火傷は見せないが彼女だけは“見ても良い”権利がある。


「痛みも忘れないとやってらんないよね。その点だと同じだよ昔の私も、君もね・・・」


グラスに新しいワインを注ぐ。
吐血が治り、こうやってまた私を内側からも傷物しようなんざ甘いよ。
内側は前々から頑丈だ。逆にどうなんだろうね。君は脆いかな?


「ははっ、同じとはね。」
ユーリは笑い、ぐいっと彼女を引き寄せる。
キスしそうな距離まで顔を近づける。


「私からも質問するよ。
長年の付き合いなんだ。これは答えてもらわないと、ねえ?ルナティック、否ユーリ・ペトロフ。」

ニヤリと笑い、キスをする。

「その質問とは?」

「それは・・・」




ころした痛みはどこへゆくの





きっと彼岸の彼方へ逝ったのだろうね。

それは同感。

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