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□本気にさせないで
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空いていたホテルにきらの肩を抱いて守るようにしながら入った。
部屋の扉を閉じるとすぐにきらの方から身を寄せて来る。
その背中を抱いて式部は小さく笑った。
――なんだ。やっぱり震えてるじゃないか。
「……お嬢ちゃん、無理すること、ないんだよ」
それは確かに式部の本音で。
けれど、きらは式部の胸の中でかぶりを振った。
「……いや。怖いけど、今式部さんと離れるのは、もっとイヤ」
可愛いことを言ってくれるきらに、式部は胸がきゅっと熱くなる。
――じゃあ、もう。
――どうなっても知らないよ?
式部はきらの体を強く抱き締めた。
愛しくてたまらない。
本当はずっとこうして触れたかったんだ。
喉まで出かかったそんな台詞はぐっと飲み込んで、きらの唇におのれの唇を重ねる。
いつもの触れるだけのキスとは違うんだと分からせるように唐突に舌を差し込むと、きらの身体がびくりと震えた。
きらの口腔をねっとりと舐め回すように舌を動かすと、やがてきらの方も式部の舌の動きに応えて自分の舌をおずおずと差し出した。
「……ん、は。式部さ……」
きらの唇から零れる控え目な甘い声に、式部はそれだけで高まる自分を感じて、一度唇を離してからそっと苦笑を漏らした。
――そう。
――ずっと欲しかったんだ。
「今ならまだ引き返せるけど?」
最終通告。
けれどきらの意志は変わらないだろう。
分かっていて尋ねる自分は意地悪なのか。
案の定きらは頬を赤く染めたまま首を振った。
それを見届けて、式部はきらの身体を抱き上げてベッドまで運んだ。
そっと横たえさせて、結んでいた髪をほどいてやる。
そして式部は、きらの上にかぶさるようにして抱き締めた。
「あの……式部さん、シャワー……」
「……後でいいよ」
「でも……」
「……いいから」
まだ何か言おうとする、きらの口を塞いで黙らせ、きらの服に手をかけた。
おかしいくらい余裕がない。
それなりに遊んできて、それなりの経験を積んできているはずの自分が、きらをいざ前にすると、まるで少年に戻ったかのように錯覚してしまう。
シャツを脱がせて、ブラジャーを外すと、小ぶりながらも形の良い二つの膨らみが露になった。
羞恥のためか、顔を隠してしまったきらの両手をそっとどかせながら、安心させるように式部は微笑んだ。
「お嬢ちゃんの可愛い顔、見せてよ」
「……!!」
恥ずかしくてたまらないのか、きらの目は潤んでいた。それが余計に扇情的で、式部を煽らせる。
――可愛い。
――めちゃくちゃにしたい。
式部はきらのふくらみの頂に実る果実に舌を絡めた。