お礼文
□拍手@
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1.ユーリSide
『ユーリ陛下の婚約を解消する』
そう書かれた置き手紙を初めて呼んだ時は、何のことだか理解できなかった。
いや、理解することを無意識のうちに拒んでいたのだろうか。
今となっては解らないが、どうしようもなく此処にはいない婚約者の顔が見たくてまたらなくなった。
何故、どうして……?
頭の中を過るのは、彼に対する疑問の意だけ。
君が側に居ることが当たり前になってしまっていて、君がいない日々に不慣れになった今、自分の中で存在感の大きさを感じさせられた。
いくら俺が婚約を否定しても、男同士だと逃げても、いつも真っ直ぐな眼で俺を見つめていてくれてたのに。
なぁ、ヴォルフ…
俺が嫌いになった?
愛想が尽きた…?
もうへなちょこって言ってくれないのか?
本当、へなちょこだよ 俺。
お前が居なくなってから、お前の大切さに気づくなんて。
へなちょこでもなんでもいいよ。
だから…、だから、早く俺の所に帰ってきて?
家臣なんかじゃない、本当のお前に会わせて。
お前が帰ってきてくれたら、俺もお前から逃げないから。
自分の気持ち、正直に話すよ。
だから、早く戻ってきてくれ…、ヴォルフラム。