Story

□闇夜の美しさ
1ページ/2ページ

地球での学校。
今日は魔王ではなく、しがない高校生をやっている。

ヴォルフ、元気かなぁ…。
そう想いながら見上げるは、すみわたる青空。5月に入り、新緑が綺麗な季節になった。

今は理科の時間。
クロマトグラフィーという、色素の実験をしている。簡単に言えば、黒のインクが幾多の色素によって構成されていることを見る実験だ。

眞魔国に居る間、黒について散々聞かされている。何も地球に来てまで黒にこだわらなくても…。そう思ってると、前の方が騒がしくなった。どうやら結果が出たようだ。

あいにくだが今の俺にはクロマトグラフィーの実験結果よりも、野球チームのメニューを考える方が効率的だ。
心の中で教科担任に手を合わせながらメニュー表とにらめっこしていれと、クロマトグラフィーのろ紙が回ってきた。

何気なく視線を向けてみると、そこには元が黒とは全く思えないような色の旋律があった。

単調な黒がこんなにもたくさんの色を含んでいただなんて、正に目から鱗だ。

普段から双黒だ、漆黒だと騒がれてる俺にとっては、なんだか深い感傷があった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ