Story
□離婚騒動
1ページ/4ページ
『困ったものだ。』
数々の質問を前にユーリは心の中でも呟いた。
事の始まりは些細なものだった。
ある日、ユーリとヴォルフラムがいつものように二人で城下の視察に来た時の事だった。
その日は前日の雨もあって、少々冷える日だった。
その為、ヴォルフラムがユーリに温かい飲み物を買ってきた。
しかしユーリは飲み物を渡された時、中の飲み物が跳ねてしまい思わず飲み物を落としてしまったのだった。
たったそれだけの事なのだが、周りの人々はかなりざわついた。
遠くから見た人にとっては、ユーリがヴォルフラムの手を撥ね付けたようにも見えただろう。
ましてや、普段から『ロイヤルカップル』と囁かれている人気高いカップルだ。
その話が国中に広まるのに時間はかからなかった。
それだけならここまで大騒ぎになる事もなかったかもしれないが、さらに運の悪い事にヴォルフラムが1週間ほど城を留守にした。
もちろんユーリとのケンカではなく、ビーレフェルト地方でどうしても外せない会議があった為だ。
しかしそんな絶好のネタを眞日がほっておくはずがなく、一面にでかでかとユーリとヴォルフラムの離婚疑惑が記載されたのだった。