Presents
□お買い物
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それは、ヴォルフと近くのスーパーに来ていた時の事だった。
つないだ手が動かなくなったから、何かと思って振り向くと、子供みたいに瞳をキラキラさせて熱い視線を送っているヴォルフがいた。
…ダメだよ、ヴォルフ。俺以外にそんな視線送るなよ。お前は、俺の婚約者なんだから。
そう思いつつ、ヴォルフの視線の先にある物を見ると……
「ふ、風船…?」
あの、よく子供が喜んでもらっているやつだ。
「ヴォルフ?あれ欲しいの…?」
「なっ、ば、バカにするな!僕はそんな子供じゃないっ!!」
と、頬をわずかに染めて言う彼。
そんな動作の1つ1つが可愛いくて仕方なくて、抱きしめたくなる。
「いいの?欲しくないの?」
「……いい」
と、素直じゃない婚約者。ったく、世話が焼けるんだから本当に。まぁ、そんな所も好きなんだけど、ね。
「本当にいいの?」
と、改めて聞いてやってもうなずくだけ。
「そっか。んじゃあ、行こヴォルフ。」
そう言ってヴォルフを促して歩き始めたけれど、やっぱり風船が気になるのか、ヴォルフは何度も後ろを振り返る。
そうこうしている内に買い物も終わり、店の外へ出た。