Story

□闇夜の美しさ
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『綺麗だ…』

例えて言うなら、虹のグラフだろうか。
5、6色が集まり一つの絵を作っているみたいだった。
黒がこんなに様々な色を含くんでいるなら、眞魔国で高貴な色とされているのも分かる気がする。

―――――――――…『ユーリには、漆黒がよく似合うな』

いつぞやの婚約者が、笑いながら言っているのを思い出した。その時は何も思わなかったが、今になってみるとその意味が解るような気がした。

…全ての色を含んでいる黒のように、俺もそんな王になれってことか?
単なる考えすぎだったら悲しいが、なんとなく確信があった。
きっと彼は俺が思っている以上に、俺のことを想ってくれているんだろう。


『会いたい…、な』

どうしようもなく、大好きな笑顔が見たくなった。
あの屈託のない笑顔で、へなちょこと言って欲しくなった。
あの華奢な身体を腕に抱き留めたくなった。

『行っちゃおっかな…』

幸い今日はチームの練習はない。さて、婚約者に何て言い訳をして会いに行こう。

待っててな、ヴォルフラム。
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