Prozect
□お題『体の一部』
5ページ/21ページ
2.手から伝わる温もり(ヴォルフラムSide)
今日はユーリと二人で城下の視察に来ている。
視察といっても、ユーリは毎回の様に楽しそうにあちこち見ている。
落ち着きのない奴だ。
何度も視察に来ているため、城下の者ともすっかり慣れ親しんでいる。
そのため、最近では変装をすることも少なくなった。
僕の好きな色がいつも見られることは嬉しい。
しかし、だ。
只でさえ目立つ双黒に加えて、ユーリの顔立ちは人目を惹きすぎる。
ユーリ自身の人格の良さもあってか、男女関係なく民が近寄って来る。
それは、王の臣下としては喜ぶべきことなのであろう。
王が国民に迎え入れられる。
これ以上の喜びはないだろう。
しかし僕はユーリを王としてではなく、一人の男として愛している。
愛する者に愛される心地よさを知ってしまった。