小説
□休暇の過ごし方
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「どう?」
「確かに珍しいな。」
夕食を終えてしばらくすると、早速リーヴスが新しい酒を持ち出してきて、ライエルに見せていた。
「でしょ?たまにはこういうのもいいよね。」
透き通った琥珀色の酒をグラスに注ぎ込む。
氷が急な温度差で音を立てた。
「アーネストは強いからストレートで良いとして、カーマインはどうする?」
ちらりと視線をボトルに向けると『75%』と言う自分としてはありえない数字が記されていた。
よくは分からないが、おそらくそのまま飲んだら確実にヤバイんだろうなと本能が呟く。
「あ・・水割りとか・・?」
「OK。」
リーヴスは慣れた手付きで、あっという間にカーマインの前に水割りが置かれた。
「それじゃ、乾杯でもしようか。」
3人がグラスを手に取る。
「カーマインの誕生日を祝して、乾杯!」
グラスをぶつけ合うと、ライエルが美味しそうに酒を飲み干した。
ごくりと喉のなる音が聞こえる。
「・・・さすが、お前が用意しただけあって美味いな。」
ライエルは大分気に入ったようだ。
考えてもみれば自分の誕生日など関係なく、この二人の場合はただ酒が飲みたかったという方が本音だろう。
「君も飲んだら?」
リーヴスは対照的にじっくり味わっているようで、それでもグラスの中身はもう半分近くになっていた。
「あぁ・・。」
ごくりと一口喉の奥に流し込むと、そこから一気に熱が伝わってくる。
想像以上の強さに思わず声が漏れた。
「・・・ぐっ・・・・!」
「美味しい?」
その横では楽しそうに、世間ではインペリアル・ナイトと呼ばれる人たちが同じものを飲んでいた。
もちろんリーヴスもストレートである。
「・・・美味い・・・。」
正直言って初めて飲んだが、酒は好きじゃない。
しかし、酒を持ってきた当人を目の前にしてそれを口にするのは憚られる。
それに、先ほどからうむを言わせぬ笑顔でこちらを見ていて、口が裂けても言えなさそうだ。
「良かった。どんどん飲んでね。いっぱいあるから。」
実に楽しそうである。
まるで無邪気な子どものように。
「・・・うん・・・。それより、ライエルって今日体調悪い・・ん・・・!?」
とりあえず話題を変えようとした途端、リーヴスがいきなりカーマインの口を手で塞いだ。
「しーっ!せっかく気持ち良さそうに飲んでるんだから。」
「いや、でも・・・!」
「いいから、いいから。それより、はい。おかわり。」
この調子ではもう、こちらの話には聞く耳持たないだろう・・・。
半ば諦めて潔くグラスを差し出すと、再びその中に先ほど喉の奥に流し込んだ液体が注ぎ込まれた。