お話。

□骨の髄から指先まで、君の幸福に浸されている。
1ページ/1ページ

市丸隊長。
もう離しません。
もう逃がしません。

「ずっとイヅルと一緒です」


薄ら見える。
色を無くした唇。
子守歌。

「堪忍」

声帯を震わせた。
膝の上。
ボクは頭。を。
フル回転。
ねとりとしたゼラチン状の。
君に似付かわしくない霊圧に、すっぽり包まれている。
体は何処かと目玉をぐるりと回してみるけど、きっと道端にでも捨てられたんだろう。
痛みも感じないし、この調子だと食物も必要ない。
汚物の排出の面倒だって、ない。
頬を撫でる指の心地よさ。
体温。
きっとイヅルは甲斐甲斐しくボクの世話をするだろう。
なんて幸福な。

(お前はよくできた子だった。いいや今もだ)

こうしてボクが思案している間も血液が巡回している。
心臓もないのに、血液が巡っていることを疑問に思う。
この霊圧がなんらかの手助けをしているのだろうか。

「イヅルと一緒に暮らしましょうね」

ああ、もう、考えることが億劫だ。

ボクの体は切り離されてお前が抱えて撫でるこの頭、いいや生首が唯一脈打って生きている。
もう只それだけ。

「幸せです」

何処までも従順な子。
生臭い吐息に納得しながら唯一、もう干柿を食べれないことが少し悲しかった。











消化不良。
なんかもう申し訳ないです。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ