お話。
□自分で首を絞めることほど困難なことはありませんねと笑う。
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隊長、と。
イヅルは笑った。
「好きです」
ボクも、なんて白々しすぎるか。
「おおきに」
優しい御方。愛しい人。
イヅルは僕の指を愛おしそうに撫でて口付ける。
そのたびに張り付いた笑顔でボクは礼を言った。
君が泣いたら、慰めて、頬に口付けた。
なんて卑怯な男だろうと自嘲気味に笑う。
「突き放してしもたらえぇのに」
なんて奴だ。
罪なお人なんて、泣かれてしまうんだろうか、自分で想像して、妄想して、笑った。
「好きや」
愛しとる。
可笑しいな。
喜ぶ君の顔を見て、
自分の首を絞めたくなった。
*
寒い。
すみません。足が冷えました。