お話。

□取り敢えず最後に君の顔を殴りたくなったよ。
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阿散井くんはきっと僕が好き。
ああ、今日もまた。
熱っぽい視線で見てる。
「何?阿散井くん、僕の顔に何か付いてるの?」
わざと。
相当慌てるから笑っちゃう。
「い、いや、べべべ!別に!!」
「ふーん」
視線を泳がせて。
しどろもどろ。
僕が気付いていないとでも思ったのかい?
「なぁ、吉良」
「何…?」
「俺…」
「……」
「………」

───好きだ。

阿散井くんにそんな勇気があると思ってなかった僕は素直に驚いた。
「そう」
何、そんなに目、見開いて。
「そうって、ぉ、まえ…なんか、ないのかよ!」
そんな、大声で叫ばないで。
「何って?ごめんもう僕行くね」
「あ、吉良!」
取り敢えず、隊長不在の隊舎に、戻る。
天に召された3人には全くどこのかぐや姫だと思う。


なんとなく、阿散井くんとふたりで会う機会も多くなった。
他愛のない会話して、帰る。
繰り返し。


成り行き、別に拒まなかったし、
「ん」
「き、ら…」
阿散井くんのキスは荒々しくて動物みたい。
市丸隊長、どんなかんじだったかな。
ああ、このまま窒息しても良いとか思ってたっけ。
「へたくそ」
阿散井くんはごめん、と、唇を離した。
謝るくらいならしてこないでよ。
僕は溜息を吐いた。

ある日突然。
「なぁ、吉良」
「何」
「俺お前に、さ」
「うん」
「ちゃんと、返事、聞いてないん、だけど」
「……ああ」
好きじゃないよって言ったら目を見開いてた。
「何?」
相当慌ててた。
だってキスもしたし、おまえ、拒まなかったじゃねぇか!なんて、罵られる。
「あれは、愛玩みたいな…」
犬とキスもしてる感じ?って言ったら、胸ぐら掴まれた。
なんだよそれっとか、俺のどこがいけないんだ、とか言われた。
「そうゆうところだよ」
馬鹿。
僕は指を折った。
「あと、単細胞なところとか、すぐ感情に流されるとこ、ついでにおっせかいなところとか、欝陶しい」
指を折って、薬指。
阿散井くんは泣きそうだった。
あと、ああ。



「市丸隊長じゃないところ」


指を5本折って。
彼は僕を哀れんだ。



恋次を鼻で笑うイヅルが好きっていう妄想です。

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