お話。

□聞いたげるから。
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「ボクがイヅルのお願いひとつ聞いたるから、ボクのお願いひとつ聞いて」
こいつの手を握った。
それでしたら、と。
口を、ぱくり。
開いて紡ぐ。

それは満面の笑みだった。

「死んでください」

ああ、なんだ、こいつはつくづく生意気な奴だ。
それと同時に恐ろしく気の合う奴だとも思った。

「奇遇やな」

ボクも今、それ、言おうとした





ふたりとも笑顔で、じゃあ、死にますか。

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