アンケ結果!!

□憎悪の桜
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皇都の桜が花を咲かせるのは、三月の下旬。
春の到来をうけ、鮮やかな花びらが恒陽の光に輝き人々をよりいっそう楽しませる。

冬の寒さはいくらか残っているもののこの時期は既に春という温かな季節をむかえたといっても良いだろう。

そんな季節、新たに配属される部隊が決まった。

士官として必要な知識と訓練を僅か半年で身につけ新たな将校として任命されたこの季節。

佐脇俊兼は19歳となっていた。

もちろん半年で将校になれたのは彼の身分が関係してくる。本来ならば最低でも二年は必要とされるのだが、その時間的不足を感じさせないのは全ての成績において首席をとるほどの優等生であったからだろう。

いくらか教条的で型にはまりすぎてしまってはいるが、無能の一言で片付けられる人材ではなく、寧ろ並以上の有能さを持ち合わせる人材といえよう。今は経験が浅いからこそ視野を広める事ができずにいるが経験と年数を踏めば、兵士からも良い将校として認められるであろう。

型にはまってしまうのであればその部分を誰かが補ってやれば良い
つまりは、佐脇俊兼は将来を期待された未来ある青年であったのだ。

だがそんな彼にも人間としてあって当然の負の面をしっかりと持っていた。

それは性格ではなく(彼は善人ではないが、悪人でもないのだ)、能力でもなくましてや容姿などでもない。

それは、ある特定の−たった一人からなる人間。その人間が佐脇俊兼の負の面をより具体的に具現的にあらわしていた。

その人間…彼は俊兼とは同い年で(実際は大人がそう決められた歳であるため、本当の年齢は定かではない)、偶然と片付けて良いのかわからないが同じ駆城家の初等教育をほどこされていた。

俊兼と彼の関係はその頃から不仲であったと知られている。

事実俊兼は幼い頃、彼を積極的に虐めていた餓鬼の一人であった。

だが、二人の仲をより悪化させ修復のしようがないほどの悍ましい憎悪関係を作り上げさせてしまったのはその時でなかった。

そう、最も悪化させてしまったのは、俊兼が19、彼も19の時。
偶然なのかはわからないが、この二人が再び顔を合わせた時。つまり二人は同じ部隊に配属したと判明したその日がはじまりといえるかもしれない。

俊兼の負の面を尋常でないほど
醜く深く濃厚に塗りあげた彼。彼の名は、新城直衛という。
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