皇国×進撃

□名もなき調査兵士の追記録
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×名もなき調査兵士の追記録×


×××


85※年

10月3日

私の名はマチ・ムラサメ。第3部隊所属。第32回壁外調査の任務を終え、帰還時巨人に遭遇。

仲間は全員死亡。その際故障した立体機動装置は放棄。逃亡手段である馬は失い、食料は僅かな物しか残っていない。

奇跡的にコンパスは正常に作動する。これを頼りに私は北へ向かう。

生存の確率は皆無。無事にたどり着く可能性は絶望的とみて良い。

しかし恐怖に支配され立ち止まる事は許されない。この命が消えるその瞬間まで私は戦う事を誓ったのだ。

私は屈しない。例え巨人に食い尽くされるのだとしても、私は最後まで戦う。屈する事は許されないのだ。

私は屈しない。


10月4日


気温の変化が著しい。雨により体温が低下している。巨人に見つかるリスクを考え、火をつける事はしない。身にあるもの全てで体温を低下させぬよう心掛ける事が今私に出来る事だ。

幸いというべきか私は巨人に発見されずにすんでいる。この奇跡が街につくまで続く事を祈るより他はないだろう。その反面死に対する恐怖が徐々に増長している。

それでも屈してはならない。私は負けない、屈しない。

必ず戦って





巨人と遭遇。3メートル級。

抵抗するも右手、左足を負傷。動く事が出来ない。止血を試みるも失敗。出血があまりにも多い。巨人から逃れられたとしても出血多量で死ぬかもしれない。

巨人は目の前。すぐに私を食べない。奇行種と思われる。これで私も終わる。死ぬのだ。

……巨人の鼻息が私にかかる。体が奮えているが、不思議な事に恐怖を感じない。麻痺してしまったのか。

巨人が私の顔を覗き込む。顔は整っている。美男子と言って良いかもしれない。

巨人の顔が近付く。いよいよ終わりだ。今度こそ食べられる。19年、短い人生だったかもしれない。

結婚はおろか、恋人も出来なかった。せめて


手帳はここで終わっている。
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