書庫
□それは嫌がらせではなく
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痛めた腰をさすりながら
「はぁ…」
と、溜息
渋々時計を確認したら夜中の2時半過ぎで
眠気はとっくに吹き飛んでいた。
「ありえない…」
この゙ありえない"という言葉には理由が二つ存在する
@この所、頻繁にネウロが夢に出てくる事(気になるであろうその内容は16歳の少女の口からは告白出来ないとのことで略しておく)
A事のほか今日の夢は16歳の少女にとって若干刺激が強かった(?)らしく、気がついたら布団から落下してしまったという下手なオチを演出してしまった自分
「お腹空いたなぁ…」
晩飯はお腹がまぁまぁ膨れるほど食したつもりが、少女のお腹はこの時間になって空腹の警告を鳴らした。冷蔵庫には朝食の分を省いて何も残されていなかったので少女は暫く悩んだ結果昨日の放課後、事務所の冷蔵庫に残しておいたであろう非常食達(ケーキほかスイーツ)をわざわざ食べに事務所へ行くことにした
「寒っ…」
春といえど夜はまだ冷え込んでいた為、パジャマの上からダウンジャケットを羽織り、首にマフラーを巻いただけの格好では流石に寒かったらしい
真夜中の3時過ぎ。事務所までの道中、すれ違う人はほとんどいなかった。事務所のあるビルを見上げる。閉じたカーテンの隙間から漏れる明かりがなく、少女はなんとなくホッとした
階段を登り、音を立てないように事務所のドアノブを捻り、ちらり中を覗き込むとソファーで横たわる青いスーツを着た男が寝息をたてていた
ここから先へは、極力物音を立てたくないのか履いていた靴をドアノブの真下に置き、やや早足に冷蔵庫のあるキッチンへ向かった
ちょうどその少女がキッチンに入っていったのと、青いスーツの男の眉がピクリと動いたのがほぼ同時だった事はまだ少女は知らない