小説

□花簪〜ハナカンザシ〜
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この花“花簪”っていうんだって。花言葉は“変わらぬ思い”。
どこに咲いてたかって??
あんたが良く知ってる場所に咲いてたよ。

春に咲く花なんだけど、どうして今の時期に、、、。















テストも無事終わって今日は戦国時代に戻る日。
犬夜叉、また怒ってるかな。

あたしが戻る時はいつも井戸の近くで待ち伏せしてる。

しかもぶっちょう面で。

だからあたしは、急いで戻る。

皆待ってる。あたしを。

重い荷物も持って勢いよく井戸に飛び込んだ。

「犬夜叉ー、おま、、た.せ...」

井戸を通りぬけると、そこは一面銀世界だった。

犬夜叉は、
いない。

「うぅ、寒ーい。こっちで雪みたの初めてだわ。」

少し早歩きで滑らないように気をつけながら楓お婆ちゃんの家へ急いだ。


「皆ー、お待たせー。」

「おかえり、かごめちゃん。」

皆、笑顔で迎えてくれる。

だけど、いない。

犬夜叉がいない。

「あれ?犬夜叉は、、、?」

「かごめ様が来る直前に出て行ったので、てっきり迎えにいったのかと。」

「一緒ではないのか、かごめ?」

あたしが来る直前?

だけど、確かに犬夜叉は井戸の前にいなかった。

それに、あたしが帰ってくれば匂いで分かるはず。

「こんな雪の中どこに行っちゃったんだろうねー?」

犬夜叉が心配。

どこに行っちゃたの??

「探しに行ってくる!!」

「待ってればそのうち戻ってくるよ!!」

珊瑚ちゃんのそんなことばも聞かずに、あたしは雪のなかへ飛び出した。

でも、どこに探しに行くの??

わからない。

でも、足がかってに導いてくれた気がしたの。

向かった先は、


―御神木―



一面に広がる真っ白な世界に、ぼうっと浮かび上がる焔色。



「あ、かごめ!!なんでお前がここにいるんだよ!!珊瑚のやろう、ばらしやがったのか、、、。」


その少年はゆっくりと歩いてきて自分の衣をあたしに着せた。


「寒いだろ。」

暖かいぬくもりが優しくあたしをつつみこんだ。

「犬夜叉、手真っ赤、、、」

「ん?あぁ、雪触ってたからな。きにすんな。それより、これ、、。」


そういって差し出したのは、一輪の花だった。

「あたしに、、、?」

それは、少し濃いめのピンクの花だった。

「楓ばばあの家でもっとちゃんと渡そうと思ったんだけどな」

あたしにこの一輪の花を渡すために、この雪の中、霜焼けになってまで、、

「ありがとう。」

「珊瑚に教えてもらったんだ。さっき七宝が外で遊びたいって言い出してな、珊瑚とここで遊んでるときに見つけたらしい。」

でも、どうして花を贈るなんて、似合わないことするの??

そう聞く前に少年は話し出した。

「なんかよくわかんねぇけど、花言葉は“変わらぬ思い”らしい。




変わらぬ思い。

















「かごめ、誕生日おめでとう。」















泣くなっていわれても止まらない。

頬に伝う雫はあなたへの思い。








そして、“変わらぬ思い”。












―END―
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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