秘話
□寡欲な人とあたしの我欲
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時々、この人はもっと我が儘に我が儘に生きてもいいんじゃないのかって思う。
寡欲な人とあたしの我欲
初めて隊長に会った時、なんて物欲の無い人だろうと思った。
あたしは、流魂街育ちにとって危険な隊長職になる特権ていえば、いい生活。
それに、服やアクセサリーに化粧品などといった好きな物も好きなだけ買える。
流魂街出身者は大概あたしみたいに、それが死神になる利点でみんなそれを目標にしてると思っていた。
それなのに隊長ときたら…
流魂街の中でも治安のよい潤林安出身とはいえ、必要最低限しか揃えない。(まぁ、全て品の良いものだが)
最初は、贅沢に慣れてないだけか?とも思ったがその内気付いた。
この人には、人が当然持っている欲というものが一切無いのだと。
悲しかった。
だって、隊長は若くして隊長になり、その強さや思慮深さから忘れてしまいがちになるが、世間一般で言えばまだまだ我が侭を言っていい、してもいい子どもだ。
なのに、隊長にはそんなこと一つ言わなかった。
もし、隊長がそんなことを言ったてあたしが隊長を信頼する気持ちに変わりはないのに
なのに願うは、自分より人のこと。
自分のことなんて、二の次三の次どころかもっと後回しだ。
あの人は哀しいくらい誰よりも大人だった。
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