贈り物
□黎明
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昔から…ただ、ただ…そう、君だけが欲しかった…
黎明
「この度、十番隊隊長に日番谷冬獅郎が就任した」
各隊長・副隊長が集まる中、総隊長のその言葉に知らなかった者達はただ驚いた。
実力は申し訳ないが若すぎる最年少隊長の誕生に周りが騒然としてる中、五番隊副隊長である雛森は呆然とその人物を見つめていた。
(なんで…シロちゃん…)
信じられなかったのだ…日番谷は自分には何も言ってくれなかった。
死神のそれも隊長にもなるとかなりの危険が付きまとう。
それこそ、副隊長の自分なんか比でもない。
最年少―若くして隊長についた彼は、皆から妬まれる対象にもなるだろうし…面倒な仕事は隊長の中でも年若い彼にいきやすい筈だ。
それに、彼を護る副官―その人がもし信頼出来ない人だったら…
彼を護る立場でありながら、戦闘中事故に見せかけて後ろから斬りかかることだって―
悪い考えばかりが雛森の頭をよぎる。
「…雛森君。大丈夫かい?」
あまりの雛森の顔の青白さに近くに居た藍染が声をかける。
「…はい。平気です。」
精一杯の平静を装い雛森は言う。
しかしその瞳は、一度もこちらを向かない日番谷を見つめたままだった。
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