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□アリスの夢
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「罰ゲーム、しましょうか? 私何回負けましたっけ?」
「うーん……覚えてないや。」
「わ、お揃いですね。」
 その表現はやはりニュアンスが違うように思うのだが、蒼衣は微笑んで流した。
「えっと、じゃあ、1つやってもらおうかな。」
「はい!」
 曲がりなりにも“罰”と名が付いているのに、初体験(に感じられる)行為に颯姫はワクワクを抑えられない。
 そんな無邪気に応えてやろうか迷ったが、蒼衣は初めに浮かんだ通りを告げた。
「おいしいお茶、淹れてくれる? 僕のだけじゃなくて、みんなの分。」
「分かりました!」
 ぐっと小さな手を握り締めると、颯姫は跳ねるように奥へ引っ込んでいった。
 それを見計らったように、はあ、と呆れた調子の溜め息が聞こえた。
「どこが罰ゲームなのよ。いつもやってる事じゃない。」
 視線は合わせない雪乃に罵られ、蒼衣は笑みを苦いものにした。
「いいんだよ、僕が飲みたかったんだから。」
「ホント甘いわね。反吐が出る。」
『そこが〈アリス〉の可愛いところよ?』
 前触れも無く現れた気配に、蒼衣と雪乃は一瞬身を強張らせた。
 そんな反応にさえ、風乃はクスクスと息を漏らす。
『アリスはみんなに優しくて、仲良く楽しく遊ぶものよ。』
 愉快そうな美貌が、不愉快そうな同じ顔に囁きかける。
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