その他版権
□それは、ごくありきたりな
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皆がやるようにしっかりと折り目をつけ、
皆がやるようにおざなりに刃を挟み、
すー、
なめらかな質感のコピー用紙は至極あっさりと分割され、それをまた機械的に畳み、さらに細かくしていく。
100円で買えるような小振りなカッターナイフ。それでも切れ味は、紙1枚なら力を入れずとも容易く切断できるほど。
その気になれば、
手首の動脈くらい───
・・
ずっ、
「ん……。」
引っ掛かった。ほんの少し角度を変え、わずかに力を強めてカッターを引く。
「あー……。」
先程までの分と比べやや歪な紙のラインに小さく声を漏らしたが、特に修整はせずに次の線へ移る。
皆がやるようにいい加減に折り目をつけ、
皆がやるように丁寧に刃を差し入れ、
すー、
ほとんど音も立てず、蒼衣自身には何の影響も無く、コピー用紙は切り裂かれた。
−END−