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□雪やこんこん
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 西洋アンティークを中心に商品を揃えている『神狩屋』店内は、今日に限って和風アットホームに鞍替えしていた。
「ふあ〜、あったかいですねぇ。」
 とろけたような颯姫の笑顔は、潜り込んでいるコタツと同じくらい幸せな気分にさせる。
「この店、コタツなんかあったんですね。」
「うん、大掃除してたら見付けてね。これと一緒に。」
 蒼衣が話を振ると、神狩屋は脇に置いていたダンボールをコタツの上に乗せた。
 みかんを剥く手を休めて中を覗くと、コマに福笑いにすごろくと、今時やらなそうな遊び道具が詰まっていた。
 隣で中腰になっている颯姫が、不思議そうに首をかしげる。
「何ですか、これ?」
「お正月のおもちゃ、でいいのかな。後でやってみる?」
「はい!」
 と、元気のいい返事に呼応するように、チン、と軽い音が響いた。
「焼けたみたいだね。」
「あ、私行きます。」
 立ち上がろうとした蒼衣を遮って、颯姫が台所へ向かった。
 キュロットスカートで素足を晒しているのに、健気な事だ。どてらまで着込んだ神狩屋とは大違い……と苦笑する。
 やがて、強烈ではないものの食欲をそそる匂いが漂ってきた。
「お待たせしました〜。」
 コタツという食卓に置かれたそれは、少々の炭化も一興と思わせる程おいしそうな餅だった。
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