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□冬の誘惑
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今、雪乃は迷っていた。

この誘惑には正直のりたい。

以前から興味があったからだ。

だが、それは雪乃のプライドが許さない。

ぎゅっと唇を噛み締めて、悩む。

「ほら、雪乃さん。」

呼んでくる蒼衣を睨むが、瞳は揺らいでいる。

「雪乃くん、ほら。」

神狩屋も颯姫も呼んでいる。

珍しく夢見子もその場にいたが、相変わらず何も見ていない。

だが、その表情はどこか揺るんでいるように見える。

「・・・・・・・・分かったわ。」

遂に雪乃は誘惑に負けた。

意を決した様に、足を踏み出すと―――








何故かあるコタツに足を入れた。





雪乃がこの店に来た時、休業中の札がかけてあったので少し不思議には思った。

事件が起きないかぎり、休業にはしないはずだった。

まさかまた予言があったのかと慌てて戸を開けた瞬間、目に入ったのがコタツだった。

「・・・・・・・・・」

呆然としている雪乃に気付いた蒼衣が手招きする。
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