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□恋愛相談ポストの危機
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「大変よ心葉くん!」
放課後、部室に向かう支度をしていたぼくの元に、いきなり遠子先輩が現れた。
無闇に長い三つ編みをなびかせながら教室に駆け込んできた遠子先輩は、本気で焦っている様子だった。
「ど、どうしたんですか?」
よほどの事があったのだろうと思って問うと、遠子先輩はぼくの制服の袖を掴んで、
「恋愛相談ポストが撤去されちゃったのよ!!」
…………はい?
唖然とするぼくと注目する周囲に構わず、遠子先輩はどうしようどうしようと、今にも泣きそうな顔で捲し立てる。
「……とりあえず、場所変えませんか?」
もう手遅れだろうけど、これ以上の注目は避けたい。
ぼくの提案に応える事無く喚き続ける遠子先輩を押して教室を出る時、相変わらずの目付きで睨んでいる琴吹さんの姿が視界に入った。