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□怪物の悪夢
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 ───愛しい。


 ───好き。


 ───愛してる。


 亡霊が吐き続ける呪いの言葉。
 生前の風乃は、そんな事を言わなかった。そもそも会話など今とは違う意味で成り立たなかった。
 雪乃自身が生み出した偽りの亡霊は、雪乃によく似た面差しで蠱惑的に微笑み、甘やかな、絡みつくような音色で囁きかける。


 ───好きよ。


 ───可愛いわね。


 ───私の愛しい妹。


 心底そう思っているのだと、表情からも声音からも感じ取れる。
 だが、だからこそ雪乃は、まるで毒を1滴ずつ飲まされているような胸の悪さを覚えた。
 風乃の愛情が紛れもない好意だとしても、一般的なそれとは違う。そのせいだけでなく。
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