復活

□Memoria in Giappone
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 大いなる野望を果たす段階の1つとして、僕達は海を渡り東洋の島国へやって来た。
「クフフ……これがジャッポーネの街並みですか。」
「ひゃー! 黒髪ばっかだびょん!」
「蒸し暑い……。」
 初めての日本への感想を口々に漏らしたところで、僕は念のため最優先事項を確認した。
「いいですか? まず、それぞれの日本名を決めます。」
 無駄な騒ぎを避けるため中学校に通う事にした僕達は、同じ理由で日本名が必要だった。
 しかし名付ける当てが無かったので、実際に訪れてから色々参考にする事にしたのだ。
 ―――僕以外は。
「ムクロさんは、“六道骸”れすよね。」
「クフフ、よく言えましたね。」
 そう、僕は忌まわしき能力をそのまま苗字に使った。皮肉にも元の名前の音に“骸”という字が当てはまり、冗談のような名前になった。
「まあ、その辺をうろつきながら考えましょう。表札を参考にしてもいいでしょう。」
「お、犬ら!」
「……ちょっと。」
 制止を無視して、門から顔を覗かせる小型犬に吠えかかる。
 その時、僕の足に何かがぶつかった。
「おや?」
「す、すいません! ほらケンちゃん、お兄ちゃんに謝って。」
「ごめんなさい……。」
「いえ、突っ立っていた僕も悪かったので。」
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