ドラゴンボール

□ずるい ひと
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愛しい男の腕の中。ブルマは二度目の絶頂を迎えた。


一度目はじっくりと、そして二度目はひたすらに甘く。
ベジータは時間をかけてブルマを抱く。


身体が快楽に敏感になり過ぎて、少しの衣擦れも芯へと響いた。


汗ばむ肌に所有の刻印が刻まれる。

息の整わぬ胸と一緒に、ベジータの髪もゆらゆらと揺れていた。


「ベジータ……」


掠れた声でそう呼べば、鋭い瞳がゆっくりとブルマを射抜いた。


呼んだ理由なんて特に無い。

ただ甘過ぎた快楽に、鋭い貴方のまなざしが恋しくなっただけ。


「……良い眺めだな」


冷笑を湛えた薄い唇でそう言って、ブルマの身体をじっくり見つめる。

自身が付けた、胸に散らばる花びらに、やんわりと手を這わせた。


「ベジータ……好きよ」


ブルマはそう呟いて、見た目からは想像が付かないくらい柔らかな黒髪に、華奢な手を滑り込ませた。


男とは思えぬすべらかな頬にそっと口付けを送る。

熱を孕んだ頬だった。




―――いつも甘い言葉を囁くのは私ばかりだわ。


ベジータの性格を考えれば当然の事。
蜜言ばかり囁かれても気持ち悪い。



でも、せめて一言。
たった一言だけでも。

ブルマはベジータから“愛している”という言葉が欲しかった。


熱に浮かされたうわ言でもいい。

ベッドの中だけの気紛れでもいい。

ベジータの冷えた唇から、甘い言葉を聞いてみたい。




ブルマはその赤い唇を彼の頬から滑らせて、そっと唇を啄む。

冷たい、唇。


どれだけ温めれば、甘い言葉が聞けるの?




そうして念入りに唇を合わせた。

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