接吻

□狂気の沙汰
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敷布にしわを寄せながら、華奢な裸体がもぞりと動いた。

ぼんやりと月明かりに濡れた室内に、青白く浮かぶ肌理細かい肌。

窪んだ背骨の筋に、ゆるりと舌を這わせる。




「んん…。」


情事後、微睡んでいたりんの背中を、思いの向くまま弄んでみた。


背骨を舌で撫で上げ、黒髪が絡む項を吸う。
熱い舌で舐め、きつく吸い上げれば、夜目にも鮮やかな印が残った。

そこをまた味わってから、覆い被さり、うつ伏せのりんの顎裏に唇を移す。




「ん〜…。」


コロリと寝返って来たものの、りんはまだ夢心地のようで。
頬には情事の名残のような赤みが差している。



それでも触れれば触れるだけ。
味わえば味わう程に。


彼女の肌から滲む、毒にも似た甘い甘い香り。

それが己の五感に触れる度に、一つまた一つと溶けて無くなる理性。

そして、徐々に広がる本能の染み。


味わい出せば留まるところを知らず、りんの身体を貪るように、薄い肌を辿って行った。




黒髪が乱れる額と瞼を啄む。
滑らかで温かい頬に唇で触れた。


そっと首筋をなぞって、辿り着いた淡い実を舌で転がせば、ぴくりと身体が震える。

側体をゆるりとなぞれば、腰が振れた。

銀の髪がその跡を這うように、りんの身体の上を滑る。


二の腕の内側から指先まで進めば、指が微かに震えた。

汗ばんでしょっぱい掌を舐め、誓いを甲に落とす。


事ある毎にりんが小さく喘いだが、それには気にも止めず、小さな臍を擽った。




「ん…んんー…。」




りんはその刺激から逃げるように身体を捩るが、逃がす筈もなく。

小さな身体を組み敷いたまま、更に唇を降下させた。




くたりと閉じられていた脚を割り、大きく開かせた。

先ほど散々弄ばれた後の秘処は、赤く充血している。
程なくして小さな秘裂から、注がれていた白濁が、ゆるりと流れ出して来た。




酷く扇情的な光景を観賞しながら、ちろりと芽を刺激してやれば、とぷりと勢いよく精が溢れ出る。


月光に映るそれは、まるで神聖な物の様に振る舞いながら、りんの中心を伝って行った。

己の欲が、りんの胎内をも支配しているという、満ち満ちた感情が、身体を駆け巡る。




まだ眠りの縁にいるりんの中へ、躊躇い無く熱い杭をねじ込んだ。







「……っ…。」



息を呑むほどの快感を、彼女は無意識に己へと与える。

その身のなんと罪深き事か。




雄を深部まで到達させてから、薄く開いた唇を侵食してやる。

零す吐息さえ、虚空へと溶け込むのを惜しんだ。

そのまま、魂へと口付けを贈る程に。
深く深く。









りんが目覚めたらどんな反応をするだろうか。

そんな反応すらも食らいつくして、己は彼女の全てを奪うだろう。




思慕も恋慕も、この衝動にのまれて。
この熱さと甘い毒をひたすらに欲しいと渇望する本能が止まない。






月明かりの下、凄惨なる獣が小さな身体を貪る様は。




これぞ正に、狂気の沙汰。




(終)

12.7.24 脱稿
  12.22 改稿

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