小説

□お年頃
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セルとの戦いを終えてからすでに一年が経とうとしていた



そしてトランクスも2歳の半ばまでに成長していた


2歳にもなったトランクスは言葉もしゃべり、いたずらばかりをする時期



ブルマにとってはとても困って大変な時期であった


資料はぐちゃぐちゃにされるし壁には落書きをされるし
おもちゃは全て出したら出しっぱなし


これでは家が汚くなる一方でブルマは家事に追われていた




そしてトランクスの出したおもちゃを片付け終わったころ


ブルマは辺りを見渡すと―――

トランクスがいない




―――またどこかに行っちゃったの〜?




ブルマは精神的にも疲れ始める


そして、大きなため息をつくと、トランクスを探しに、リビングを後にする




「トランクス〜〜、どこ行ったの〜」




そう大声を出して廊下を歩いていると、べジータの部屋が目に入る


ブルマはノックもせずに扉を開けると、そこにトランクスはいなかった



その代わりに夫であるべジータがベッドの上で書斎を読んでいた

べジータは一瞬だけブルマへ目をやると本へと目を移す


ブルマはべジータの部屋に入ることなく、問いかける




「べジータ……トランクス見なかった?…いなくなっちゃったのよ…」


「さぁな……こちらへはこなかった……」


「そっか……じゃあ反対のほうか…ってかさ、あんた気ってのでトランクスの位置、見つけてよ」


「あいつの気はまだ小さくてわかりにくい…それに探せば出てくるだろう?」


「そうだけど私一人じゃ時間かかっちゃうから、あんたも探してよ、本も書斎室にしまうついでにさ、いいでしょ」


「……ちっ、今回だけだぞ」




べジータはしぶしぶ承知して、溜まった書斎を手に持つ


そしてブルマの横を通り過ぎて書斎室へと向かう



ブルマもその後を追って、べジータの本を3分の1ほど持ち上げる


だが、べジータは重なっている本を片手に持ち替えて、ブルマが持っている本を
空いている方の手で本を奪うように持ち上げる


そして、もう一度重ねてしまう




「ちょっと、少しくらい持ってあげるわよ」


「ふん、貴様に持ってもらうほど俺は落ちぶれちゃいない」


「……まぁ、そうよね、そんな本なんてちっとも重くないんだろうし…」


「わかってるなら、さっさとトランクスを探せ」


「わかってるわよ!早く探し出さないと、悪戯しちゃうし、早く探さなきゃ!」




そういってブルマは先を急ごうと走り出す


だが、べジータが何かを感じ取ったのか、表情を険しくさせる

ブルマはべジータの方へ振り返る




「どうかしたの?」


「……トランクスの気を一瞬だが書斎室の方に感じた」


「書斎って……まさか……!?」


「あぁ……悪戯でもしているのだろう、興奮して気が少しだけ膨らんだんだ」


「うそ〜〜、あそこにはいろいろと資料があるのよ!ヤバイわ、急がなくちゃ!」





そういってブルマは焦りながら書斎室へと急ぐ


そして開けようとしたのだが、内側から鍵が掛かっていた



ブルマは強く扉をノックする




「トランクス!ここを開けなさい!あんた、また悪戯してるんでしょ!?早く開けなさい」


「ママ〜?でも僕が開けたらママ、怒るでしょ?だから開けないもん」


「いいから開けなさい!じゃないともっと怒るわよっ!?」




そういうと、べジータがブルマの隣に来る


本は全て床へ置くと、ブルマを見て一言……





「おい、セキュリティを解除しろ…」


「えっ?どうして……」


「ドアをぶっ壊す……だがセキュリティが作動している場合、警報がなるだろ?早く解除しろ」


「ドアぶっ壊すですって!だめだめ!?ダメに決まってるじゃない!セキュリティは解除しないわ」



ブルマは全否定をする


だがべジータは微笑してブルマに言う



「では、全てトランクスに悪戯されるぞ?」


「それは……ダメだけど、扉壊したら修理大変なのよ、費用だって掛かるし……」


「お前なら金はいくらでもなるだろう、いいから早くしろ、でないとセキュリティごと破壊するぞ?」


「それこそ大出費だわ!セキュリティだって複雑構造なのに……」




そういうと、ブルマは悩む


だが、ブルマは仕方なくセキュリティ解除をする



―――と同時に


べジータは鍵の部分だけを気で破壊する



ブルマは扉を壊されなかったことに安心する

そして扉を開けると、そこに広がっている光景は………




「トランクス〜〜!あんた、よくもやってくれたわね〜!?」


「マっ、ママ!」




ブルマはあたり一面に広がる本の山に驚く

だが、その本ほとんどに落書きが施されて、テープで丸めていった


きっと、ブルマが本を捨てたときのように真似をしてやったことなのだろう……



だが、その書斎は全て大事なもので資料に使われているものも多かった

それをトランクスはダメにしてしまったのだ



だが、トランクスは鍵を開けてもいないのに入ってきたことに驚く


ブルマはトランクスに歩み寄っていくと、怒鳴りつける




「トランクス!?あれほど言ったじゃない!本に落書きをしたり、テープで丸めたりしちゃいけないの!?何度言ったらわかるのよ!」


「だって…だってぇ……うわぁ〜〜ん!!」




トランクスはブルマの険悪さに怖がってしまったのか、泣き出してしまう始末


そして山積みになっている本を上を走っていくと、べジータの足にしがみつく

そこはトランクスの涙で濡れていくがトランクスは訴える




「パパぁ〜〜、パパも僕のこと怒るの?……ママみたいに怒っちゃう?」



トランクスは涙目で訴えてくる


だが、べジータはトランクスを見て言う




「怒らないが、こういうことは二度とするな……」


「本当?僕のこと叱らないの?」


「あぁ……もういいからお前は部屋で大人しくしていろ、いいな」


「うん、僕、大人しくしてる」




そういうと、先ほどの涙は嘘だったかのように消えて、笑っていた


そして笑顔のままで、書斎室を後にする



ブルマはトランクスの背中へ怒鳴りつける




「トランクス〜〜、まだ話終わってないわよ〜」




そういうも、トランクスは聞いていないかのように走り去ってしまう


ブルマはあきれながらにため息をついて山積みになっている本を見つめる



そしてべジータへ目線を送ると睨み付ける




「あんた、どうして叱らなかったのよ……あの子、またやるわよ?」


「大丈夫だ、あいつはもうしないだろう」


「どうして…そういいきれるのよ……」


「二度としない…そういっただろう」


「まったく……でも次やったらあんたが叱ってよね」


「多分な……」




そういって二人は山積みになっている本を一目見る


そしてブルマは苦笑いすると、大きくため息をつく

べジータもため息をついて呆れ顔



ブルマは腕を組んで独り言のようにつぶやく




「これは私じゃできそうにないから、掃除ロボにでも任せないとね」


「そのようだな……」



そう言い合うと、二人同時にため息をついたのだった


(終)

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