文書弐

□月光夜曲* 銀桂
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「銀時」
 連れては行かせないと、抱く腕に力を込める。彼らの呼び声に打ち消されないよう、俺は再びその名を呼んだ。
 銀時の肩がかすかに動いたのが分かった。俺の背に腕を回すと、きゅっと着物を掴んだ。
(戻って来い)
 俺は銀時の唇に、己のそれを重ねた。何度も啄ばむように繰り返していた口づけは、いつの間にか互いに貪り合うような深いものになる。
 そうしているうち縁側に押し倒される。背中には冷たい木の感触。
「銀時、中で……」
 塀はあっても庭の向こうは道。さすがに少し焦り、わずかな抵抗をする。だが今の状態の銀時が俺の声を聞くはずもなく。
(いや、普段から聞かんか)
 妙に冷静に考えながら、しかし最後は銀時の好きにさせた。けっきょく俺は、この男に甘い。
 肌蹴られた皮膚の上をなぞる舌にまかせ、俺は与えられる愛撫を受け入れていく。
「んッ……!」
 赤く色づいた胸の突起を吸われると、愚かなまでに反応を示す躰。生温かい濡れた感触に、よく知った熱が芽生え始める。
「銀時……」
 俺に触れる男が誰であるのか、確かめるように名前を呼んで。
 俺は銀時にすべてをゆだねた。
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