□The Star Festival
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『あれ?』
ふと壁に掛けられたカレンダーを見た時、ちょっと気になって思わず声をあげると。
『どうしたの、ルフィ』
机で日誌を書いていたナミがそれに気付いた。
『なぁナミ、今日って7月7日だろ?この“しちゆう”って何なんだ?あっもしかして、シチューの日なのか!?』
『しちゆう〜〜?…あぁ、七夕の事?やーねルフィ、それ“たなばた”って読むのよ。シチューの日じゃなくて残念だったわね』
『たなばた…』
『そ!訳あって神様に離ればなれにされた恋人同士が、年に一度だけ会う事を許された日、それが七夕』
『へーぇ』
『私も、小さい頃にちょっと話を聞いただけだから、あんまり詳しくは覚えてないけど。織姫と彦星が、天の川っていう、星星を散りばめた川の両岸に追いやられて、7月7日にだけ掛かる橋を渡って再会する事ができる…とかそんな神話じゃなかったかしら?』
『そうなんかぁ。…恋人と一年に一度しか会えないなんて、何か寂しいな』
『確かにそうかもね〜。でも、中にはそれをロマンティックだって思う人も大勢いるらしいわよ。ちなみに、私もその一人だけど♪』
* * * * * * *
波も穏やかな夜の海。
ルフィは、一人甲板に出て夜空を眺めながら、昼間のナミとの会話を思い出していた。
(俺だったら絶っっ対ヤダ!!毎日顔合わせても足りないくらいなのに、一年に一回とか…耐えらんねーよ…)
ましてや、自分達の意志でならいざ知らず、第三者の手によって引き裂かれたという織姫と彦星に思いをダブらせ、らしくなく切ない気分になってしまった。
「星はいっぱい出てるけど、天の川ってどの辺に見えんのかな」
「何だ、天の川なんてずい分と風流な事知ってんだな」
「ぅわっゾ・ゾロ…!?」
人の気配に全く気付いていなかったルフィは、必要以上に肩をびくつかせ驚いてしまった。
その様子に、少し気まずそうにゾロが言葉を続ける。