岩及のお話とか(仮)20160624up

□そんな空気になりたい
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岩ちゃんはモテる。
本人は気づいてないと思うし、気づいて欲しくもないけど。
もちろん俺のがモテるよ!?
でも多分本気度が違う。
俺の場合はなんていうか…テレビの向こうのアイドルとか俳優さんが好きっていうのと同じみたいな子がほとんどで。
本気で付き合いたいとか、一緒にいたいとか、ずっと自分だけ見て欲しいとか…そういうタイプは絶対的に少ない。
だから…俺は昼休みの屋上で女子に囲まれてるハメになってるんだけどね。
ていうか、そういう本気度の高い恋してる子の周りも…本気でその子の恋を成就させるために後先考えないで行動するタイプが揃ってんの何でかな。
「ちょっと及川、ちゃんと聞いてる!?」
「うん、聞いてるよー岩ちゃんの話だよね?」
ガシャン、と背中のフェンスが鳴る。
目の前には睨みつけてくる女子3人。
最近練習の時とか試合の時に見かけるようになった同じ学年のグループ。
その一歩後ろにもう1人。
前にいる3人よりはちょっと冷静かな?
でも3人を止めない時点でやっぱり後先考えてないっぽいよね…。
「で、岩ちゃんの事で俺に用事ってさぁ…」
なるべく早く切り上げて貰いたいんだけど。
俺まだお昼食べてない。
購買でパン買って教室に戻る途中で屋上に拉致られたんだし。
「あんた、いつも岩泉と一緒でしょ!?たまには離れといてって話よ」
「ちょっと協力してって言ってるだけよ!友達に彼女出来るチャンス作ってあげなよ!」
「この子と岩泉を2人きりにしてあげて欲しいだけ!」
…一気にしゃべんないで欲しい…。
ていうか、岩ちゃんとはクラスが違うからいつも一緒にいる訳じゃないんだけどね?
そりゃ、朝練や部活の時は一緒だけど。
ていうか、今岩ちゃんのとこ行けば確実に俺はいないでしょー。
…なんて、口に出せたらどんなに楽か。
でも言ったらどうなるかくらいはさすがの及川さんでもわかる。
「ていうか、岩ちゃんへの女子からの呼び出しにわざわざくっついてかないからね…?」
及川さん、空気くらい読みますけど?
例えそれが不本意でも。
「それだけじゃダメなのよ!」
女子3人組が一歩前に踏み込んで来る。
「だって及川いたら岩泉が…」
バンッ!
突然の大きな音に、俺も女子達も固まる。
勢い良くドアが開いた音だった。
ていうか…犯人は噂の岩ちゃん。
更に女子達固まる。
ていうか…この校舎の屋上って、鍵が開いてるのはまれで、昼休みでもめったに人なんて来ないよ…?
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