★Shaman King★

□monologue
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ルドセブとセイラームを見届けた後、込み上げてくる焦燥感を必死に押さえつけながら、前鬼・後鬼の力を借りて駆けてきた。
しかし、そんな努力、気遣いも虚しく終わることとなる。
つまり。
間に合わなかった。



一足遅かったようね――



件(くだん)の川辺に着いてまず最初に、べっとりと赤が塗りたくられた大岩が目に入った。
そこらじゅうにも、幾滴もの血が滴(したた)り落ちている。
辺りを漂う血なまぐささが鼻につき、思わず顔が嫌悪に歪む。

誰の?
言われなくても分かる。
あの少年――蓮の体から流れ出たものだろう。


そして葉は、蓮を助けるためにシャーマンファイトを辞退した。
河原に置き去りにされたオレンジ色のオラクルベルが物語っている。
だからって、捨てることないじゃない。
ゆっくりと腰を下ろす。


怒り?
口惜(くや)しさ?
悲しみ?
沸き上がる感情の名前が分からない。
ぶつけどころが分からない。

「ほんとに……もう、勘弁してよ。……何で。何で、こうなってしまうのよ」


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