その他版権小説
□ケダモノを喰らったバケモノ。
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胸に腹に続き、ホースは容赦なく口内を犯した。
木に縛られた千鶴は抵抗できず、ゴボゴボと口と鼻から水を溢れ出させる。
すでに、その小さな体では容量オーバーなのだろう。それでも石渡はホースを抜かず、楽しそうにリンチを続行する。なかなかのドSぶりだ。
それを見て田沢も笑う。
田沢はさっき千鶴を殴った。
「俺は男も女も公平に扱う紳士なのだよ」
そんなことをおどけたように言って。
島田は蛇口の方にいるため顔は見えないが、きっと千鶴を心配して憂鬱そうな表情をべったりと張り付けているだろう。
なら僕は?
校舎裏に鏡なんて洒落たものはないので想像でしかないが、多分、いやきっと笑っている。
――世の中、弱肉強食だからね。
人間社会では肉を食べる代わりに、肉を虐げるのだ。
そんなことは子供だって理解はしていなくとも、本能で知っている。
幼児は本能の赴くまま他人の砂の城を破壊し、その砂で自分の泥だんごを作ってヒエラルキーを形成していく。
砂場の特権はいつだって善悪関係なく、強者のものなのだ。
そして歳を重ね体験と学習を詰み、弱肉強食を本能ではなく理解した上で実行するようになっていく。
そう。今の僕らのように。
石渡がホースを千鶴の口から抜いた。
むせる千鶴はゲロも一緒に吐いた。
「うわっ、きったねー」
石渡が千鶴から離れながら言う。
代わりに僕は千鶴に近付いた。
千鶴のセーラー服は水で透けていて、ブラジャーが完全に見えていた。
興奮はしない。僕はめずらしいことに性欲のない人間だからだ。
でもあいつらは違う。
僕らはまだ千鶴に性的なことを直接的にはしていないが、それも時間の問題だろう。
僕はうなだれている千鶴の髪を掴んで上に引っ張った。
「もう、許して・・・・・・ください・・・・・・」
目と目が合うと、千鶴は言った。
どうしてその態度がいじめを増長させる原因だと解らないのだろうか。
頭が悪い。
なんだかイライラしてきた。
「千鶴ちゃん、せっかく石渡に綺麗にしてもらったのに、ゲロでまたお口が汚れちゃったね」
僕は言いながら石渡が落としていったホースを拾う。
「やっ・・・・・・」
千鶴は体をくねらすも、縛られているので意味はない。
僕はホースの先を親指と人指し指で潰し、弾丸のような強度の水を、千鶴に向けた。
***
その数日後。
誰が言い出したかは解らないが、千鶴はフェラさせられていた。
口も顔も髪も制服も、白濁にまみれ、千鶴は放心したように事が終わってからも動かなかった。
田沢はチャックを閉めながら、また明日もよろしくなと、愉快そうに言った。
「じゃあ俺、千鶴ちゃんのためにおなんないで溜めとくー。お前もだぞ島田ー」
石渡はそう言うと、島田の肩を叩いた。
島田は目を泳がせ、ああとか、うんとか、口を濁らせ、いつものように泣きそうな顔になった。
「なんつーか、ケモノだよな」
自然に、だが唐突なことを、田沢が誰にともなく言った。
「この無理矢理な力ずくがさ、野生って感じ」
そして愉しそうに笑い、黙って床に座り込んで震えている千鶴の顔面に蹴りを入れた。
軽い千鶴は簡単に吹っ飛んでいく。
その体を受け止めたのは固い机と椅子で、派手な音が教室に響いた。
「あ・・・・・・ぐ・・・・・・」
千鶴はうめき、悲しそうに僕らを見る。
僕は田沢に言った。
「ケダモノの間違いだろ」
「は?何が?」
「さっきの。ケモノじゃなくて、僕らはケダモノだよ」
「その違いは?」
石渡が僕に聞いた。
「狩りと遊びさ」
僕は肩をすくめて答える。
これは命を頂く狩りではない。命を痛ぶる遊びなのだ。
絶対弱者を蹂躙する絶対強者な自分達。
歪んだ優越感だと人は言うかもしれない。
でも誰だってそうだろう?自分より下の存在が欲しいだろう?
肯定はしなくても否定はできないだろう?
弱さを認める強さ。
その概念を前提として弱さを認める奴が本当に強いと思うか?
弱者は徹底的に弱者にしか過ぎない。
「しっかりいじめられてくれよ?お前らはそれしか使い道がないんだから」
田沢が千鶴に宣告するように言った。
だが「お前らは」と言う時は、大袈裟に島田の方を向いた。
島田は青白い顔を更に白くさせ、唇を震わす。
その態度は加虐心をくすぐるのに効果適面だった。
――しかし不思議だ。
千鶴も島田も、何でこんなにも人を苛つかせるのが得意なのだろう。
***
千鶴は弱者だ。
しかし、目的を持った弱者だった。
教室から四人が消え、千鶴はしばらく黙って震えていたが、やがて弱々しく立ち上がった。
その目は虚ろだが、口端はほんの僅かにあげられている。
ケダモノを喰らうその日を待ち侘びているバケモノのように。
そして千鶴は精液を落とすため、ふらつきながらトイレに向かった。
終わり